第2回 平面ベクトル:和・差、スカラー倍

本題に入る前に、必ず動画の連絡を見てください。

ベクトルの和

概要

動画の解説を参照

ベクトルでは、普通の数のように足し算を行うことができます。
例えばこのような2つのベクトルがあるとき、

\(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b}\)、つまり \(\boldsymbol{a}\) に \(\boldsymbol{b}\) を足したベクトルは、「\(\boldsymbol{a}\) の終点と \(\boldsymbol{b}\) の始点を一致させたときの、\(\boldsymbol{a}\) の始点から \(\boldsymbol{b}\) の終点に向かうベクトルです。
図で描くとこうなります。


ベクトルを足してできたベクトルの成分は、元のベクトルの各成分を足したものになります。
例えば、上の例のベクトルは \(\boldsymbol{a}=(5, 3)\), \(\boldsymbol{b}=(4, -2)\) です。
このとき \(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b}\) の始点から終点の位置関係を考えると、
横方向には「右に5進んで、さらに4進む」のでトータルの相対位置は「右に9」、
縦方向には「上に3進んで、下に2進む」のでトータルの相対位置は「上に1」になります。
このように、図からも \(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b}=(9, 1)\) であることがわかります。
図を描かなくても、\(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b}=(5+4, 3-2)=(9,1)\) のように計算できます。

一方、\(\boldsymbol{b}+\boldsymbol{a}\)、つまり \(\boldsymbol{b}\) に \(\boldsymbol{a}\) を足したベクトルは、「\(\boldsymbol{b}\) の終点と \(\boldsymbol{a}\) の始点を一致させたときの、\(\boldsymbol{b}\) の始点から \(\boldsymbol{a}\) の終点に向かうベクトルです。
図で描くとこうなります。


2つの図を重ねて描くとこうなるので、\(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b} = \boldsymbol{b}+\boldsymbol{a}\) であることがわかります。
成分を計算してみても同じになることが確かめられます。
このことを「ベクトルの和では交換則が成り立つ」と言います。


以上のことをもとにすれば3つ以上のベクトルの和も求められます。
このような3つのベクトルで考えると、


\(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b}+\boldsymbol{c}\) は \(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b}\) に \(\boldsymbol{c}\) を足したものなので、このようになります。
要するに、ベクトルを順につないで最初のベクトルの始点から最後のベクトルの終点に向かうのが「全部を足したベクトル」になります。


課題1

ベクトル \(\boldsymbol{d}\), \(\boldsymbol{e}\), \(\boldsymbol{f}\) を考え、これらと \(\boldsymbol{d}+\boldsymbol{e}+\boldsymbol{f}\) を図で表し、成分を書き下してください。
元となる3つのベクトルの成分は、自分で任意に決めてください。
図には各ベクトルの始点・終点が明確になるように、縦横の罫線を入れてください。

課題1ヒント
Wordで作図する方法の解説
(\(\boldsymbol{d}\), \(\boldsymbol{e}\), \(\boldsymbol{f}\) の成分はこの動画の説明とは異なるものにしてください)

ベクトルの差

概要

動画の解説を参照

ベクトルどうしで引き算を行うときは、まず引かれるベクトルの逆向きのベクトルを考えます。
\(\boldsymbol{b}\) と大きさが同じで向きが正反対のベクトルを \(\boldsymbol{b}\) の逆ベクトルと言い、\(-\boldsymbol{b}\) のように書きます。


このような \(\boldsymbol{a}\), \(\boldsymbol{b}\) では、


\(\boldsymbol{a}-\boldsymbol{b}\) は \(\boldsymbol{a}\) に \(-\boldsymbol{b}\) を足したものなので、このようになります。

課題2

\(\boldsymbol{a}=(5, 3)\), \(\boldsymbol{b}=(4, -2)\), \(\boldsymbol{c}=(-2, -2)\) について、\(\boldsymbol{c}+\boldsymbol{b}-\boldsymbol{a}\) を図で表し、成分を書き下してください。
図には各ベクトルの始点・終点が明確になるように、縦横の罫線を入れてください。

課題2ヒント

ベクトルのスカラー倍

概要

動画の解説を参照

スカラーとは、向きを持たず大きさだけを持つ量のことをいいます。厳密にはより深い意味がありますが、ここでは整数や (プログラミング的な用語としての) 実数のことです。
例えばベクトル \(\boldsymbol{c}\) と向きが同じで、大きさが2倍のベクトルは \(2\boldsymbol{c}\) のように書きます(「2」はベクトルではないので細字で書くことに注意)。
\(\boldsymbol{c}=(-2, -2)\) なら \(2\boldsymbol{c}=(-2\times2, -2\times2)=(-4, -4)\) になります。

課題3

課題2の3つのベクトルについて、\(\boldsymbol{a}+0.5\boldsymbol{b}+2\boldsymbol{c}\) を図で表し、成分を書き下してください。
図には各ベクトルの始点・終点が明確になるように、縦横の罫線を入れてください。
課題3ヒント

課題

課題解答