第10回 反復符号 課題解答例

課題1

入力が0, 1のどちらの場合も確率 \(p=0.01\) で変化する通信路で3倍の反復符号を使い、誤り訂正を行った場合の誤り率 \(p_e\) を求めよ (四捨五入せず、最後の桁まで書くこと)。

(1)式より

\( \begin{eqnarray} p_e=&&p^3+3p^2(1-p)\\ =&&p^2\left(p+3(1-p)\right)\\ =&&p^2(3-2p)\\ =&&0.01^2\times(3-2\times0.01)\\ =&&0.01^2\times2.98\\ =&&0.000298 \end{eqnarray} \)

となるので、この場合の誤り率は 0.000298

課題2

入力が0, 1のどちらの場合も確率 \(p=0.01\) で変化する通信路で5倍の反復符号を使い、誤り訂正を行った場合の誤り率 \(p_e\) を求めよ (四捨五入せず、最後の桁まで書くこと)。

(2)式より

\( \begin{eqnarray} p_e=&&p^5+5p^4(1-p)+10p^3(1-p)^2\\ =&&p^3\left(p^2+5p(1-p)+10(1-p)^2\right)\\ =&&p^3(p^2+5p-5p^2+10-20p+10p^2)\\ =&&p^3(6p^2-15p+10)\\ =&&0.01^3\times(6\times0.01^2-15\times0.01+10)\\ =&&0.01^3\times(0.0006-0.15+10)\\ =&&0.01^3\times(0.0006+9.85)\\ =&&0.01^3\times9.8506\\ =&&0.0000098506 \end{eqnarray} \)

となるので、この場合の誤り率は 0.0000098506
この結果は課題1の答えよりも小さい。これは、冗長性を増やした分だけ間違いが減ったと解釈できる。

課題3

入力が0, 1のどちらの場合も確率 \(p=0.1\) で変化する通信路で3倍の反復符号を使い、誤り検出を行った場合の誤り率 \(p_e\) を求めよ。ただし、四捨五入して小数第5位までにすること。

(4)式より
\( \begin{eqnarray} p_e=&&\frac{p^3}{(1-p)^3+p^3}\\ =&&\frac{0.1^3}{0.9^3+0.1^3}\\ =&&\frac{1}{9^3+1}\\ =&&0.001369...\\ ≒&&0.00137 \end{eqnarray} \)

となるので、この場合の誤り率は 0.00137
答えが無限小数になる場合に「...」を省略してはいけない。
(電卓には「...」は表示されないが、割り切れないのでその下の桁はずっと続く)
いくら桁数を多く書いても上の行とは厳密に等しいことにはならない。
このような書き方は間違い。
\( \begin{eqnarray} =&&\cdots\\ =&&0.001369863\\ ≒&&0.00137 \end{eqnarray} \)

そもそも、この課題では「四捨五入して小数第5位までにする」という指定があるので、小数第7位からは書いても間違いではないが意味がない。
書くのは最終的な答えを求めるのに必要な小数第6位までで十分。
\( \begin{eqnarray} =&&\cdots\\ =&&0.001369...\\ ≒&&0.00137 \end{eqnarray} \)

課題4

入力が0, 1のどちらの場合も確率 \(p=0.1\) で変化する通信路で5倍の反復符号を使い、誤り検出を行った場合の誤り率 \(p_e\) を求めよ。ただし、四捨五入して小数第5位までにすること。

(5)式より
\( \begin{eqnarray} p_e=&&\frac{p^5}{(1-p)^5+p^5}\\ =&&\frac{0.1^5}{0.9^5+0.1^5}\\ =&&\frac{1}{9^5+1}\\ =&&1.6...\times10^{-5}\\ =&&0.000016...\\ ≒&&0.00002 \end{eqnarray} \)

となるので、この場合の誤り率は 0.00002
電卓には「1.69348e-05」などのように表示されるが、必要なのは小数第6位、つまり「1.6」のところまで。