第6回 平面ベクトル:外積 (2)

本題に入る前に、必ず動画の連絡を見てください。

三角形の面積

概要

動画の解説を参照

前回見たように、2本のベクトル \(\boldsymbol{a}\), \(\boldsymbol{b}\) の外積は \(\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{b}\) はもとのベクトルの大きさとベクトルどうしの角度 \(\theta\) で以下のように書けます (\(\theta\) は \(\boldsymbol{a}\) からみた \(\boldsymbol{b}\) の向きで、反時計回りが正)。

\(\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{b}=\left|\boldsymbol{a}\right|\left|\boldsymbol{b}\right|\sin(\theta)\)


2本のベクトルに一致する2辺をもつ三角形を考えて、\(a=\left|\boldsymbol{a}\right|\), \(b=\left|\boldsymbol{b}\right|\) とすると、この三角形の面積は \(S=\frac{1}{2}ah\) \(=\frac{1}{2}ab\sin(\theta)\) となります。



外積の形と見比べると、\(0 < \theta < 180\) であれば

\(S\)\(=\frac{1}{2}\)\(\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{b}\)

であることがわかります。一方、\(-180 < \theta < 0\) のときは外積が負になるので

\(S\)\(=-\frac{1}{2}\)\(\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{b}\)

となります。外積は \(\boldsymbol{a}\), \(\boldsymbol{b}\) の位置関係によって正・負が変わりますが、面積は常に正なので、

\(S=\frac{1}{2}\left|\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{b}\right|\)

が常に成り立ちます。

課題1

※ 準備 : 学籍番号を入れて「入力」をクリック (タップ) してください。


(0, 0), (, ), (, ) を頂点とする三角形の図を描いてください。
図には頂点の座標が明確になるように、縦横の罫線を入れてください。
またその三角形の面積を、ベクトルの外積を使って求めてください。
計算過程も書いてください。
課題1ヒント

平行四辺形の面積

概要

動画の解説を参照

このような平行四辺形の面積も、外積を使えば簡単に求められます。



これは合同な2つの三角形2つに分けられます。



これらの辺に対応するベクトル \(\boldsymbol{a}\), \(\boldsymbol{b}\) を考えれば、



面積はさきほどの三角形の2倍、つまり

\(S=\left|\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{b}\right|\)

になることがわかります。

課題2

(0, 0), (, ), (, ), (, ) を頂点とする四角形の図を描いてください (必ず平行四辺形になります)。
図には頂点の座標が明確になるように、縦横の罫線を入れてください。
またその四角形の面積を、ベクトルの外積を使って求めてください。
計算過程も書いてください。
課題2ヒント

力のモーメント

概要

動画の解説を参照

「てこ」は弱い力でものを動かしたりするのに使われるもので、普通の棒のてこなら支点からの距離と力が反比例します。
この図の場合なら、「長さ」×「重さ」が同じであれば釣り合います。

外積を使ってこれを考えることもできます。
支点からそれぞれの力がかかる点を結ぶベクトルを \(\boldsymbol{r}_a\), \(\boldsymbol{r}_b\)、 おもりにかかる重力を \(\boldsymbol{F}_a\), \(\boldsymbol{F}_b\) とすると図のようになります。

それぞれ前者と後者の外積を求めると、
\(N_a\) \(=\boldsymbol{r}_a\times\boldsymbol{F}_a\) \(=-2\times(-2)\) \(=4\)
\(N_b\) \(=\boldsymbol{r}_b\times\boldsymbol{F}_b\) \(=4\times(-1)\) \(=-4\)

となります。
これらの量は、「棒を反時計回りに回そうとする力」と解釈することができます。 これを力のモーメントまたはトルクと呼びます。
このケースでは、力のモーメントの総量が0なので結果としてつりあうことになります。

もう少し複雑な場合でも力のモーメントが役に立ちます。例えばこのような中心 (0, 0) に軸がある円板の4か所に重さ1の重りをつけた場合は、


軸の部分を支点としてこのように4組のベクトルの組合せができます。


\(\boldsymbol{r}_a=(-1, 2)\), \(\boldsymbol{F}_a=(0, -1)\)
\(\boldsymbol{r}_b=(-2, 0)\), \(\boldsymbol{F}_b=(0, -1)\)
\(\boldsymbol{r}_c=(2, 1)\),  \(\boldsymbol{F}_c=(0, -1)\)
\(\boldsymbol{r}_d=(1, -1)\), \(\boldsymbol{F}_d=(0, -1)\)

これらについて力のモーメントを計算すると
\(N_a\) \(=\boldsymbol{r}_a\times\boldsymbol{F}_a\) \(=-1\times(-1)\) \(=1\)
\(N_b\) \(=\boldsymbol{r}_b\times\boldsymbol{F}_b\) \(=-2\times(-1)\) \(=2\)
\(N_c\) \(=\boldsymbol{r}_c\times\boldsymbol{F}_c\) \(=2\times(-1)\) \(=-2\)
\(N_d\) \(=\boldsymbol{r}_d\times\boldsymbol{F}_d\) \(=1\times(-1)\) \(=-1\)

のようになり、すべて加えると0になります。つまり、この場合も全体としてつり合い、円板は回転しないことがわかります。

課題3

概要のような円板に3つの重り a, b, c をつけ、つりあうように自分で考えて位置と重さを決めてください。
導出過程も書いてください。
課題3ヒント
(この動画と同じ値は使わないでください)

課題

課題解答